家具デザインの原点について

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(図版出典:民芸の家具

家具のデザインの原点、「シェーカー家具」を知っていますか?

かつてアメリカで集団生活を送っていたキリスト教徒の一派「シェーカー教団」の方々が、集団生活の中で生まれた家具のデザインです。厳しい規律のもと、行動を決められていたシェーカー教徒にとって、使いやすい家具の形は非常に重要なことでした。そこで生まれた家具のスタイルは、今では世界中のスタンダード(家具デザインの原点)とも呼ばれています。

現在、世界中の流行の家具デザインも、元をたどるとこのシェーカー家具をアレンジしたもの、ということは数多く見受けられます。

 

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19世紀初頭のシェーカーテーブル:メトロポリタン美術館所蔵

シェーカー家具のすごいところは、用途に必要なもの以外、極限まで装飾をそぎ落とし、「簡素で丈夫」なことに特化したデザインを生み出したこと。

100年以上も前の家具デザインのスタイルが、未だに家具デザインの世界では大きな影響を持ち続け、家具業界では未だに「シェーカー家具を超えるデザイン」を探し続けているような印象さえ受けます。

 

(図版出典:aテーブル

ラビーダの製作している「aテーブル」や「Lテーブル」のデザインも、大元をたどるとこの「シェーカー家具」をベースに、日本の木工文化で育まれた素材の知恵や技術を融合して作られています。

 

最初の画像は、十七世紀初頭の頃の、栗無垢材で作られた幅3m以上ある大テーブルです。

作られたのは、イギリスの修道院。欧米のキリスト教徒たちはシェーカー教徒だけでなく、それぞれ優れた家具作りを実践していました。ものによっては500年くらい使われ続けているのにビクともしないものがあるほど、構造に無理がなく、材料にも無駄がなく、単純明快でありながら実に優れたデザインです。

 

幅3m程度ならば二本脚で済むので、足元もすっきりし、人が座った時に膝の邪魔にもならない。強度も4本脚のテーブルより優れています。

シェーカーのテーブルもほとんど同じ構造で作られ、世の中に広まっていきました。

 

「使いやすさ」や「心地よさ」は、人間の心の問題です。素材や形という「物」とともに、人間の心も満たされるような「物心一如の世界=三方よしの住まいかたを目指して、丁寧にものづくりを続けてい来たいと思います。

 

 

長谷川