修理について(塗装編)

昨日は春分の日。ここ数日郡山市はとてもあたたかく最高気温も17~18℃まで上がりとても過ごしやすい天気となっております。もう春も目前ですかね。皆さんはどのような週末をお過ごしでしょうか。

 

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さて今回は修理(塗装)についてお話しします。

木製家具を作る上で欠かせないもの。それが塗装です。

木材は製材されたあとでも常に呼吸を繰り返しています。そのため特に無垢材というものは板になった後も乾燥し動き続けます。そのため木肌を乾燥や汚れ、狂いから守らなくてはいけません。用は人間と同じです。お風呂上がりに化粧水や、手の乾燥にハンドクリームを塗りますよね。そのようなイメージです。

 

通常、家具というとやっぱり支流はウレタン塗装が多いと思われます。

ウレタン塗装とは簡単に言うとウレタン樹脂を木部にコーティングしたもののことを言います。ウレタン樹脂は硬化するととても強固なものとなり、材料の保護と色あせから守ってくれます。

そのため一般の家具は傷もほとんど付かず水も弾き、メンテナンスもしなくてよい事から量産の家具に多くウレタン塗装を使用します。

 

一見とても魅力的にも思えるウレタン塗装にも欠点はあります。

①木材の質感が無くなる。

塗装の膜が厚いので木材の質感を感じ取れなくなる。

②紫外線に弱い。

紫外線に弱いので直射日光や屋外への施工は急速な劣化につながる。

③メンテナンスがとてもし難い。

修理をする人間からするとこの③がとても厄介なのです。

先程述べたようにウレタン塗装は遅かれ早かれ劣化します。使用状況にもよるとは思いますが平均7年ほどで劣化します。劣化すると塗装部は白くなり、ペリペリと皮が取れるように剥がれてしまいます。

例として現在修理中のソファの木部をご覧ください。

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写真を見て分かるように木部の真ん中部分は塗装が剥がれてしまい、木部が露になってしまっています。こうなってしまうと見栄えもあまり良くなく、塗装本来の役割を果たさなくなってしまいます。

 

そこで修理の話です。

一般的に知識がない方の考えですと、ここの剥がれた部分だけ塗装すればいいじゃないと思いがちですがそう簡単にいかないのがこのウレタン塗装の厄介なところ。

ウレタン塗装のように材料にコーティングの膜を作るものには基本アフターフォローのメンテナンスはできません!

なので劣化してしまったらそこの一面の塗装を剥がして再塗装するしか無いのです。

 

因にこういった場合の修理行程を簡潔に述べます。

①劣化した塗装面の剥離。(石油系溶剤を使い塗装を少しずつ剥がします)

②木部の削り直し(傷や染みなど木部が見えた段階で処理していきます)

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③木部への着色(全体のバランスを見ながら色を調合し元の色と違和感のないように着色していきます。)

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マスキング上部が着色したもの。下部が元々の色味。

 

④ウレタン塗料による仕上げ(塗っては乾かし表面を研磨、合計3~4回繰り返します。)

⑤完成

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写真左が元々のウレタン塗装の色味。右が再塗装したもの。

 

ウレタン塗装の家具にはこれだけの修理行程がかかってきてしまうのです。そのため素人では修理できませんし、修理をするにも修理費が嵩んでしまうのです。

なのでラビーダでは劣化したタイミングで高額の修理費を掛けるウレタン塗装より、オイル塗装をおススメしているのです。

オイル塗装は木材に油を染み込ませる事で材料を保護します。もちろんコーティングの膜を作らないのでウレタン塗装に比べると傷はつき易くなります。しかし基本は一年に1、2度木部をサンディングしてオイルを染み込ませるだけなので、方法さえ覚えてしまえば誰にでもメンテナンスできます。そしてオイル塗装は木の呼吸を妨げないので質感も感じ取れ、経年変化していくと傷なども目立たなくなっていきます。尚かつ、家具用オイルは自然由来の桐油やひまわり油を配合した油を使用しております。オイルメンテナンスキットもお値段は¥2000円(税別)なので経済的にもとても優しいのですよね。

 

家具といっても構造や塗装方法など選び方を間違えると、のちのち修理費などで大きな出費がかさむ可能性があります。今お持ちの家具やこれから揃える予定の事で分からないことがありましたら、お気軽にスタッフにお聞き下さいませ。

 

 

saku