5年間、大手家具店で販売の仕事を経験しました。学生時代から、インテリアが好きで、よくショップめぐりをしていましたから、迷わず選んだ企業でした。大型家具から小物雑貨まで流通の一通りを知ることができたので、自分にとって必要な時間だったと思いますが、営業だったこともあり、お客様の暮らしよりも業績が優先されてしまう毎日。行き詰まりを感じていたときに、ラ・ビーダを知り、店に通うようになりました。
無垢材をふんだんに使っているし、デザインも美しい。ヴィンテージ家具のセレクトも素晴らしくて、月に1-2回は来店し、他のお客様と同じように、社長やスタッフと楽しいおしゃべりをしたりするうちに、家具や生活空間に対する考え方に惹かれていって、自分が求めていた生きる場はここだ!と。
ラ・ビーダで初めて購入した家具は、ウェグナーのダイニングチェアです。実はこのとき、ソファを買おうとしていました。疲れて帰ったとき、ソファで寛ぎたかったから。なんの疑いもなく品選びをしたら、「ソファで過ごす時間と、ダイニングで過ごす時間、どっちが長いか考えてみて」とアドバイスされて。ソファは使わなくなる確率が高いというんです。買おうしているのだから、お店としては黙っていてもその品物は売れます。なのに、ストップがかかるなんて前職ではあり得ないことでした。
私自身の経験は、ラ・ビーダの家具に対するこだわりの象徴です。欲しいものと、本当に必要なものの境がわからなかったことに、気づかせてもらえた出来事でした。家具を生きる上でのパートナーと考えていて、選ぶ基準はその方の人生の時間軸。数年先まで考慮した家具をおすすめします。サイズ感のいい一人掛チェアも、経年変化し、リペアが可能な無垢材を使うのも同じ理由。だから、木材の仕入れから家具職人とのつながりまで大事にします。家族構成や暮らしぶりが変わっても、使い方に自由性が高く、ずっと長く使えるように-。そうしておすすめした家具が、オーナーの生活を幸せにできるなら、こんな楽しい仕事はありません。
ラ・ビーダ、そして私がめざすのは、「つくる人」「使う人」の双方から、その時その状況で一番適した答えを導き出すことです。そして、答えはひとつじゃない。家具を置く場所ひとつにも根拠があり、おすすめする理由がある。ラ・ビーダは、生活そのもの。そう、私は考えています。