桐のこと。

こんにちは、長谷川です。

 

唐突ですが、皆さん桐についてどのくらいご存知でしょうか?

最近桐という素材を知れば知る程、その魅力の深さに驚いています。

簡単にですが、お知らせしたいと思います。

 

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◎桐の木は樹木の仲間ではなく、ゴマノハ属ノウゼンカヅラ属に属する草の仲間

◎ストローのように幹の中心に穴が開いており、それで地中の水分を吸収します。

◎桐は林産と農産の中間的な扱われ方をしており、「特用林産」というジャンルに位置づけられています。田畑に植えて育てることが出来、農作物と同じように桐を育てて売却することで生計を立てることが出来たためです。しかし、近年の桐材の価格の下落から、桐を育てる生産者は著しく減ってしまいました。

◎日本の樹木の中で最も軽い

◎湿度の通過性や熱伝導率が極めて小さい

◎葉は除虫用に使われている

◎古来から鳳凰がとまる木とされ、日本国においては菊とともに皇室や神紋に用いられて来た

◎桐の原産は中国。日本には飛鳥時代の頃に渡来した。

◎北海道から鹿児島にまで幅広く分布しているが、特に高品質な桐の産地として岩手、会津、備後(岡山〜広島)が有名。

◎会津は桐の生産量日本一

 

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◎湿度の高い梅雨時、桐箪笥は水分を含み膨張します。そのため扉が堅くしまり、箪笥内部に湿気が侵入することを防ぎます。

◎乾燥している冬の時期、木が収縮してムレないように通気性を良くします。

◎このように呼吸をするように乾湿調整をする機能が高く、箪笥の中を一定の快適な状態にします。

◎そのため、箪笥だけではなく、美術工芸品を収めるなど、桐自体も高級品として扱われ、湿度の高い日本ならではの文化が発展しました。

◎女の子が生まれると桐を植える。15~20年で成木となり家具材として使えるようになることから、嫁入り箪笥や長持ちを製作し、嫁いだと言います。

 

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◎火災に強い。火災のときに、桐箪笥は黒こげになったが、中の着物は無事だったという話しが語り継がれています。このことは、桐のもつ二つの特性に寄ります。ひとつは、桐材は熱伝導率が極めて低く、着火点が高いため、表面がこげても火が回るのに時間がかかるためです。二つ目は、他の木材よりも吸水性が高いことから、消火の水を直に吸収してしまいます。たくさんの水を含むと当然燃えづらくなり、なおかつ木が膨張するため引き出しや扉の隙間をふさぎ、箪笥内部に消火の水が浸入することを防ぎます。

◎そのような特徴から、金庫の内部は桐材で作られています。重要書類や紙幣などが、外側の鉄板が炎で真っ赤に焼けても、断熱性能に優れる桐のおかげで自然発火しにくいと言われています。

 

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◎桐は水分が浸透することはありません。従って、汚れも中まで染みることはありません。

◎独立した空気の部屋が組織内に沢山あります。そのため、断熱・保温性に優れています。

◎熱伝導率は樹木の中でも最低です。温度変化のとても少ない素材です。そのため夏はひんやりと涼しく、冬は暖かく感じます。

◎他の木材よりも傷やへこみの復元性は高いです。そのかわり柔らかいため傷つきやすくへこみやすいという特徴もあります。

◎ホルムアルデヒドを含むシックハウスの原因物質をまったく含まない木材です。他の木材はアレルギー症状を引き起こす成分を含むものもあります。

◎桐材には「タンニン」という物質が含まれています。この物質は天然の防虫剤の役割をします。

◎タンニンは、桐材を黒ずませる原因にもなります。黒ずむことを防ぐことは難しいですが、キレイに黒く変化して行くように、製材後23年雨ざらしにすることで「アク抜き」をします。

 

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◎桐の紋章は、菊花紋に準ずる国章としてビザやパスポートなどの書類の装飾に使われたり、「内閣総理大臣の紋章」として官邸の備品や総理の演台に取り付けられるプレートに使用されている。

◎会津で桐の栽培が始まったのは鎌倉時代からと言われている。

◎会津藩主だった保科正之候の時代に、産業奨励のため桐の植樹や会津漆の伸展に努力された。それからが、会津桐の隆盛がみられるようになった。

◎「ケヤキが木の王様ならば、桐は木の女王」と言われている。

◎500円玉のオモテ面に描かれている植物も桐。

 

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◎桐はクッションになる。素足で歩いていても感触がよく、滑りにくく、衝撃を和らげます。足腰に負担をかけず、転んでも怪我が少なくてすみます。「桐は傷つきやすい」と言われるのは、とても柔らかい材料であることの裏返しです。

◎桐は断熱効果の高さから、冷暖房費の節約になる素材であり、結果CO2削減に役立つエコな素材です。成長が他の木よりも圧倒的に早いことからも、サイクルの早いエコな素材と言えます。

◎桐が木目の詰まったいい材料になるためには、冬の厳しい寒さが必要です。輸入桐のほとんどは暖かい地域で育ったものが多く、ある程度知識がある人が見ればすぐに外国産と分かってしまう程、品質の差があります。

◎暖かい季節にぐんぐんと成長すること、寒い冬に成長した分絞ること。この寒暖の差が激しいことが桐の成長には必要なため、盆地であり厳しい寒さと湿潤な風土のある会津は最も桐の成育に適した土地と言えます。

 

 

桐材は、福島県会津が誇る、日本の文化が育んだ素材です。素材を知ることで、生活に取り入れる知恵や想像力も広がるように思います。是非、身近なところから桐に触れ、素材の良さを知っていただければ嬉しいです。

 

 

長谷川