家具と家がひとつに調和した、
美しい住まいを。

Name

渡部 信一郎

タンス職人だった祖父の跡をついだ父が、地元で始めた家具店からラビーダは始まりました。父の時代は婚礼箪笥や大物の家具の販売が順調でしたが、「日本人の暮らしは変わる」と予見して、私に建築を学ばせました。ラビーダが、「家具と家がひとつに調和した住まい」という、生活空間のつくり手となった原点はそうした父の先見性にあったんだと思います。

家業に入った頃は、ありとあらゆる生活品の大量生産大量消費の時期でした。時代の流れには抗しがたかったはずですが、父の心中は「本物」が消えていくことが我慢できなかったんでしょう。取引メーカーの家具から木の家具が減っていく一方で、無垢材の家具を扱うことをやめませんでした。私自身もまた、無垢材の家具に惹かれていった理由は、職人でもあった父からの遺伝子だと思っています。木工家具で世界的に有名なデンマークで勉強できたことで、「住まい方」という思想の大切さも学べました。クオリティオブライフの実現は、見た目のデザインではなく、生活に根ざした思想や自然を活かす知恵という考え方そのものが必用で、そのための道具が家具と家なのです。

自然と寄り添う暮らしは、
快適で美しい。

日本人は生活をまかなうため、木の技や知恵を磨いて、自然とうまく折り合い、自分たちのよりよい生き方を形作ってきました。木と暮らすことが現代も生活に根づいていることを北欧で学んできたことで、1000年以上も受け継がれてきた日本古来の生活の知恵や伝統を再発見しました。足もとにあった文化が、世界に誇れることに気付けたんですね。

木と暮らす幸せは、理屈よりも体感がいちばんです。木と寄り添い暮らす方法は、先人たちが長い年月をかけて快適な住まい方の知恵を積み重ねてきました。自然に負荷をかけず、人が快適で美しく暮らすこと。そのための知恵を現代に伝えるための知恵袋として、ラビーダは存在していけたらいいなと考えています。日本は自然と寄り添った暮らしの心地よさを知る機会が少なくなってしまいました。「知らない」ことを「知らない」まま生活している人も多くいます。私が気づいたように、たくさんの人が気付き、未来へ伝えていって欲しいと願っています。

担当
ラビーダ代表
出身
田村郡小野町
経歴
1955年生まれ。日本大学工学部建築科卒業
「渡部家具店」3代目
趣味
古美術鑑定
好きな家具
近江水屋箪笥