
郡山市のS様より、畳の表替えの依頼がありましたので、畳職人の今川さん(今川畳店・郡山市富久山)と一緒に伺ってきました。

飼っているペットの粗相などによって、長年の汚れや傷を、表替え(畳の張り替え)によって、メンテナンスします。
定期的に表替えをすることで、畳は快適で長く使うことができます。

ラビーダと畳職人の今川一芳さんのお付き合いは、かれこれ10年程。製作やメンテナンスをお願いしています。
昭和17年創業の今川畳店さんは、日本でも知る人ぞ知る、畳の名店です。
そんな今川さんの工房で作業を見学させていただきました。


預かって来た畳のひもをほどき、解体していきます。

見たことのないカタチをした、畳包丁。畳屋さんならば皆、持っているそうです。

工房には、い草やワラの香りが充満しています。

一芳さんと一緒に作業をする、息子さん。

畳の表面の質感を決めるい草は、熊本産のものが品質が高いそうです。
い草の長さによって、等級が分かれます。
長いい草ほど、幅広の畳を作ることができ、稀少なため高価になるそうです。

い草を織る、緯糸(よこいと)にも沢山の種類があります。木綿や絹、麻などが使われます。

工房ではいたるところに藁が積んであります。
今川さんは、日本でも数少ない、藁床(わらどこ)の畳を手縫いで作れる職人です。(今川さんのほかに手縫い畳を製作している、高知県の畳み職人、長谷川俊介さんとともに、この技術を後世に繋ぐ取り組みをしているそうです。)

手縫いの畳は時間がかかり、数が作れないため、今川さんは手縫いでつくる畳と同じように縫うことのできる、畳用のミシンを開発しました。

今となっては、何十年前に製作されたのかわからない、大きな工業用の機械を改造し、油を注し、三年がかりで機械を動かすことに成功しました。
この機械が導入されたのは、つい最近のこと。長い時間をかけて、職人の仕事と平行しながらやっと納得のいく畳を作ることができる機械が完成したそうです。

藁床の畳は、やはり柔らかさがまったく違います。

畳の歴史を勉強し続けることで、先人がたどり着いた「本物の畳」に、少しでも近づくことが目標だと教えてくださいました。

折り重なった藁を、縫っていく機械。
この機械は、一見の価値ありです。

そんな機械を開発された今川さんですが、その仕事のほとんどは、手作業です。

表面のい草を整え、張っていきます。

余分ない草をカットしています。

その動作には無駄がなく、大変に美しい所作でした。

一枚の畳が仕上がりました。

藁床に使う、折り重なった藁を見せていただきました。

この藁床は、奈良の大きなお寺の改修に使用する物だそうです。

お寺などで使う畳は、手縫いで仕上げるため時間がかかるそうです。

この藁床で作る畳は、どんなに気持ちいいのか。想像に難くありません。

伝統工芸師や宮大工を育成する学校で、講師も務められている今川さん。
そんな今川さんには、雑誌やTV、書籍からの取材のオファーがひっきりなしです。「金沢の町家」という、金沢の伝統的な職人を紹介する書籍にも、今川さんが少しだけ掲載されたとのことで、仕事中に見せてくださいました。

畳の縁(へり)です。

畳の縁を縫うためのミシンです。

畳み用の、太いミシン糸。


お世話になっているS様に、小さな手縫いの畳をプレゼントすると最後にもう一仕事。
今川さんの温かいお人柄が伺えます。

半世紀以上、畳を縫って来た手です。

S様邸の畳表替えが完了しました。

新品のようになった、S様邸の畳。
寝具として藁やい草で製作したゴザが、畳のルーツだそうです。
そのため、日本人は畳に快適性と清潔さを追求しました。
今、日本には「本物の畳」と言えるものがほとんどなくなってしまったそうです。
本当に気持ちの良い、最高にオーガニックな畳。
どうぞラビーダにご相談ください。
長谷川
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