【職人紹介】今川畳店さん

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ラビーダに新しい畳が届きました。

こちらの畳、今となっては非常に珍しくなってしまった、「藁床(わらとこ)」の畳です。

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畳表は熊本産の特級のい草。一般的に出回っているい草の中でも特別に長く、太いい草だけを選別しているため、今までの畳のイメージを一新するような心地よい手触りです。

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裏張りは麻布。通気性がよく、湿気から畳を守ります。

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い草と麻布の間に挟まれた畳の芯の部分を「床(とこ)」と呼びます。

この畳は、稲わらを何層にも重ねて作った「藁床」なのです。

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この畳を製作したのは、郡山市富久山町に工房を構える今川畳店の今川さんと宗形さん。

市場の99%が中国産や石油由来の素材で作られてしまっている畳業界において、どうして日本古来の伝統的な畳の作り方にこだわるのか、話を伺ってきました。

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畳床の材料になる稲わらは、すべて国産のもの。量販店で売っている畳の99%は石油由来のスタイロフォームなどが畳床に使われてしまっている今、畳床に使うことのできる稲わらを集めるだけでも大変な労力だと言います。

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最新のトラクターで収穫されてしまうと稲わらは細かく粉砕されてしまうため、「手刈りで収穫された稲」の稲わら以外は畳には使えないと話す今川さん。

たまたま福島の山間部では、未だに機械を使用しない田んぼが残っているため、近所から譲っていただけているとのこと。しかし稲作の生産者も高齢化が進み、いつまで良質な藁が手に入るかわからないのが現状だそうです。

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畳の歴史は古く、正倉院の中に最古の畳が現存しているそうです。

1200年以上昔には、寝具としての畳が今と同じ形で作られていました。今川さんのお父さんの時代までは当たり前に手作りできた、日本古来の畳は、機械化と量産化が進んだ現代では、作ることができる職人はほとんどいないそうです。

今川さんも、20代〜40代の仕事盛りの頃は伝統的な畳作りなど一切やらず、集合住宅の畳需要に応えるため、日々大量に作れる安価で簡易な畳作りに没頭したそうです。

日本のほとんどの畳屋さんがそう言った畳作りをなりわいにした結果、日本では「本物の畳」を作れる職人が激減してしまったと言います。

IMG_5869本物の畳が作れなくなったことを今川さんが痛感した出来事は、テレビで見たとあるお寺の修復の映像でした。宮大工の技術の粋で復元された素晴らしい仕事だったのですが、畳だけは量産ものが納められていたそうです。

すぐに問い合わせた今川さんでしたが、その時の返答に驚いたそうです。曰く、「本物の畳を作れる職人はもう日本にはいない」と。。。

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藁床を手で縫っていたお父さんの姿を覚えていた今川さんは、早速古来の技術を復活させようと勉強を始めたそうです。

勉強をすればするほど、その奥深さにはまり、昔の文献を読み漁り、人脈を駆使して日本全国の年配の畳職人を尋ねたそうです。

そしてついに、山口県に全国で唯一と言われる、藁床の畳を手縫い(手床と言います)する技術を伝承している職人と出会い、学ぶ機会を得ました。

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その山口県の職人も今川さんに技術を伝承してすぐに他界してしまい、今では今川さんが全国の畳職人に手床の畳技術の伝承に励んでいます。

手床の畳作りの最大の問題点は、職人の技量と体力によって質のばらつきが大きくなってしまうこと。今川さんも今では体力的に、本式の手床畳を製作するのはきつくなってしまったと話します。

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そんな時期に、明治時代に使われていた畳床を製作する巨大なミシンに出会います。

名古屋方面で使われていたという「サカエ式」の機械は、手床と全く同じ材料と同じ製作方法で畳を作ることができる唯一の機会だそうです。

100年以上も使われていなかった、この巨大なミシンを、今川さんは多くの方の協力を得て、オーバーホールし、命を生き返らせました。

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人が手で縫うよりも、一定の力で、均一に縫うことができるため、畳としてはフラットで質の良い、手床よりもクオリティの高い畳を作ることができるそうです。

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そんな畳作りを今川さんは、弟子の宗形さんと二人で続けていらっしゃいます。

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その最高品質の藁床に、最高のい草で作った畳表で表面を仕上げて完成する今川さんの畳。

この格別の畳の質感は、素足で暮らす日本人にこそわかる、足の裏の気持ち良さがあります。

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どんなに欧米化されたライフスタイルが普及しても、日本の暮らしには畳は無くなりませんでした。

しかし、悲しいことに日本の暮らしにはもうほとんど「本物の畳」はなくなってしまいつつあります。

本物の畳とは何か、今川さんは次のように述べていました。

「本物の畳とは、畑の肥料になるような、すぐに自然界で分解されてなくなってしまう儚いものを素材にし、長年培った日本の技術で100年持たせることができるようになった、寝具のことなんです。たくさんの人が、死ぬ時は畳の上で死にたいと言う。それは畳の気持ちよさがDNAに刻まれているからです。その死ぬときに、本当に気持ちいいと思えるような畳。それが本物の畳です。」

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今川さんが作る、本物の畳。

ラビーダでは今年から、その本物の畳をたくさんのお客様に伝えたいと思っています。

ぜひ店頭でその気持ちよさを体感してください。

日本人だからこそわかる、本物の畳の心地よさ。これを知らないことは非常に勿体無いことだと感じます。

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畳は一畳、35,000円+消費税〜となっております。

特殊な形のお部屋にも、オーダーでどんな形にもあわせてお作りすることができます。

手床の畳と比べると、何十倍もの速度でミシンでは縫うことができます。そのため手床の畳の価格と比べると10分の1〜20分の1程度の金額で販売することができます。

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最高の技術と素材の畳を、ぜひご自宅へ。

納品後のメンテナンスも責任持ってご相談に乗ります。

どうぞご検討ください。

 

長谷川