今朝(3月31日)の朝刊に、ラビーダの記事広告が掲載されました。
木工に携わる職人の方々にインタビューを続けた連載も、今回で一度節目を迎えることになりました。
うちで使う桐材は、5年かけて自然に乾燥させ たものです。最初の2年ほどは丸太のまま野外 に置いておき、製材して再び野外に1年干します。雨風と日光にさらし、渋(タンニン)が抜けた後、いったん倉庫に入れて2年ほど落ち着かせると真っ白い桐材が出来上がります。近年は材木 を湯に浸してから熱風をあてる人工乾燥が主流 ですが、この方法では油がすっかり抜けて「木の力」がなくなってしまうのです。古い桐タンスにツ ヤがあるのは、じわじわと滲みでてきた木の油が、空気にふれて皮膜をつくるからですが、油がなければツヤは出ないし、そのうちボソボソにな って弱くなってしまう。作り手の都合で効率を良くしていくのではなく、なるべく自然の力に委ね ていった方が、長く使える家具を作ることができるわけです。 先人がこうやって作り続けてきた桐タンスは、 200年も300年も使えます。古くなって黒くなった 表面を削ってほしいという依頼も時々あります が、正直「やっといい色が出てきたのに」と残念 に思うことも多いのです。これまでに古いもので は江戸時代の桐タンスを直したこともあります。 このタンスは、蔵から出した途端に乾燥して壊れ てしまったのですが、ちゃんと修理して返すこと が で きました 。 木の扱い方は、古タンスの修理を若い頃から 幾つも手がけて覚えました。近頃は、木をじぃーっと眺めているだけで、どうすればいいか分かり ます。不思議と木の方から教えてくれるんです よ。眠っていると夢の中でふと迷っている答えが 分かることもあります。丸太ん棒を見ているうち に「俺をこう使うと良い物ができるぞ」と言って くることもあって、それが面白くて山で木を伐る ところからやっています。 ライフスタイルがかわって、かつてとは比べ物 にならないほど桐タンスの需要は減りました。だ からこそ、今はじっくりと一つひとつの仕事に向 き合うことができています。作り手としては、やはりお客さんに喜んでもらえて、 大切にしてもら えるものを作り たい。たとえ手 間はかかっても 自分が「欲しい」と思う家具 を作り続けれ ば、いつの時代 でも受け入れて くれる人は必ず いるはずだと思っています。
喜古桐たんすの喜古達夫さんは、その長いキャリアによって桐について深く理解されています。
桐の文化を絶やさないためにも、ぜひ喜古さんの知恵と技術を多くの方に知っていただきたいです。
デンマークなど 、海外から仕入れたヴィンテージ家具の修理・メンテナンスを手 がけています。面取りなどの特徴的なディテールワークや、分解 して見えてくる効果的な木材の使い方は勉強に なりますし、任されるとワクワクします。そのほとんどが50年以上前に作られたものですが、現 在の機械力を補って余りある当時の家具職人の技術力は圧倒的です。デザイナーと家具職人が も て る 力 を 合 わ せ な が ら 、美 し さ と 使 い や す さ 、 丈夫さを追い求めいた時代の息吹を感じること が で き ま す。 修理で私が心掛けているのは、独特の風合い や経年の変化を活かしながら再生することで す 。も ち ろ ん 家 具 と し ての不具合を直すことは大前提ですが、まっさらに直すことはしません。新 品の状態を「ピーク」としてみるのではなく、積 み重ねてきた年月を踏まえた状態にこそ、価値 を見いだすことができるからです。紫外線やツ ヤ、小さなキズも含めて、成長させて美しく変化 させていくのがヴィンテージの良さであり、その 歴史を決してゼロにしてしまうことがないように 手がけます。 当社では、ヴィンテージに限らず一般的に売ら れていた家具の修理やリメイクも引き受けてい ます。例えば「高齢になって床座の生活がつらく なったので、一枚板の座卓をテーブルにしたい」 という依頼を受けることがあります。そういった 時は、デザイナーと連携して新しい形を提案する の で す が 、見 積 書 を 見 て 実 際 に 注 文 さ れ る 方 は 半 数 ほ ど で す 。今 は 、修 理 す る 金 額 で 買 え る 量 産 型 の 家 具 が た く さ ん あ る の で 、そ の 家 具 に 対 す る 思 い入 れ や 愛 着 の 強 さ が 決 め 手 に な る の だ と 思います。
デ ン マ ー ク の 家 具 職 人 は 、作 る こ と と 同 じ く ら い 「 直 す こ と 」 に 力 を 入 れ て き ま し た 。「 売 っ た ら 終 わ り 」 で は な く 、「 き ち ん と 直 せ る 家 具 を 作 っ て 販 売 す る 」と い っ た そ の 考 え 方 に 共 鳴 し 、ラ・ ビー ダ で は 主 に 古 い 家 具 の 修 理 やメン テ ナン ス を 担 当 し な が ら 日 々 勉 強 し て い ま す 。私 が 作 り た い の は 、決 し て 使 い 捨 て で は な い 、想 い を つ な い で い け る 家 具 で す 。ず っ と 未 来 へ と 使 い 継 い で い け る 製 品 を 、作 っ て い き た い と 思 い ま す 。
弊社の家具職人、佐久間隼人さんは若くして多くのデンマークビンテージ家具の修理を手がけてきた実力派です。
名作と言われる家具に直接触れてきた佐久間さんの視点は、物を大切にし、家具を長く使うための愛情に溢れています。
こちらから記事全文を読むことが可能です。
どうぞご高覧ください。
Tweet
|
|