山長商店さんの構造材

ラビーダではW様邸から構造材を和歌山県の山長商店さんのものを使用しています。

出会いのきっかけはラビーダから地元和歌山県で独立した神谷君からの一報でした。

http://www.theroasters.jp/

山長商店さんは江戸中期に創業、江戸末期から育林を開始、当時から「山林収利簿」に1本1本詳細な記録がつけられているそうで、現在でも残っている木が何年前に植林されたかわかるようになっているそうです。 山長商店さんがある和歌山県は県全土の80%が森林を占める「木の国」です。そのうち約25km四方が山長商店さんの自己所有林で個人所有としては日本有数の規模を誇ります。

昔から和歌山県産の杉・桧などの「紀州材」の品質は、よじれのない、素直で、目が詰まっていて、強度があることで知られています。つまり、柱や梁などの「構造材」として最適です。 これは気候風土が適しているだけでなく、植林や育林の長年の経験、伝統の技術を生かしていることもあげらます。 記録によると江戸屋敷の構造材は「紀州材」が使われていたそうです。昔から適材適所の良材を日本全国探して調達してきた歴史があります。 今でも山長商店さんでは仕上げ材などの用途には業務を広げておらず、「構造材」のみを扱っています。

逆に、山林経営だけでなく、製材、乾燥、プレカットまで自社で行ううようにして、より自社製品に責任を持つようにシフトしてきました。 柱や梁は1本1本、くるいの原因となる乾燥度合いをチェックするため含水率をを計測した上、材によって異なる強度も測定して、合格したものだけを出荷しています。

特筆すべきは、柱の強度検査は他社でも行っていたところがあるようですが、梁などの「横架材」については、山長商店さんが国産材では初めて、2008年からJAS強度表示による供給をおこなっています。つまりほとんどの構造材に対してチェック体制を整えたことになります。さらに、機械だけでなくなく職人さんたちによる目でも、木のくせや欠点を見極め検品しています。

プレカット部門も、長年培った全国への流通ルートの利用と、全国の設計事務所、工務店に決まった担当チームを付けて、きめ細やかに対応できるような体制を整えてきました。 今や全国に年間約1,000棟を供給する規模になり、山長商店さんを指定する著名な設計事務所、工務店も多くなっています。産業が少ない和歌山県において、貴重な企業になっています。

私たちは山長商店さんに伺った際、まず山へ連れて行ってもらい、そこで山長商店さんの木々を見ながら、長い試行錯誤の歴史と今後の課題を、定年退職をして今は山長商店さんの「語り部」になっている「まっちゃん」と次世代を担う営業の迫平さんに熱く語っていただきました。

現在主力の木材は50年生、60年生のものだそうですが、一山からの利益を換算すると50万円ほどにしかならないそうです。ですから、山林経営、製材所などでは設備投資や人材の確保が難しいそうです。また、製品になるまでの期間、土砂崩れなどの自然災害やシカなどの野生動物による食害、人出不足により手入れが行き届かないなどの要因で、簡単に苦労が水の泡になってしまいます。

それでも、先代から受け継いだことを次世代に伝えるため、また、全国の林業の現状も同じだと訴え、山長商店さんがやってきていることが、全国の林業、製材関係の会社の道しるべになるよう「同じ想いを共感できる人、会社に山長商店の木を使ってほしい」と言われました。

この熱き「想い」に共感し、そこに裏付けされる確かな技術と材料を直接確認した上で、山長商店さんの「構造材」を使うに至りました。 土台・柱は基本的に桧の4寸、梁などの横架材は基本的に杉を使っています。

株式会社山長商店 http://yamacho-net.co.jp/