松は冬でも緑葉を保つ常緑樹であるため、常磐木と呼ばれ、古くから縁起物としてもよく使われてきました。
(アカマツ:出典wikipedia)
松材の良さは、大高木の樹木なので、大径木が取れ、強度もあり、水に強くて虫も付きにくく、そして何より、価格がリーズナブルと素晴らしい木です。
リーズナブルではありますが、材として人気がある方ではありません。
やに(樹脂)が多いため、加工後も表面に油分が染み出し、しばしば固まって取れなくなってしまうことがあるためです。
戦時中の日本ではエネルギー不足解消の目的のため、松の根からやにを採取して、松根油として使用したほどに、油分の多い材です。
ラビーダの松の床はツヤが出てきました。
そのやにの成分によって、松材のフローリングは時間をかけて磨き上げると独特のツヤと味わいが出ます。経年変化による美しさを十分に知っていれば、松は非常に優れた材なのです。
脂松(やにまつ)と呼ばれるクロマツ系の材は、松やにが豊富に含まれているため全体に美しく飴色になっている材で、銘木として扱われています。
建築材として、松はまた非常に優秀な材です。
梁に使われている、南部の赤松。「地松」と呼ばれる、立派な松を住宅に使えることは大きな喜びです。通直生にはやや欠けるため柱にはあまり使われませんが、針葉樹の中では重く強度もあり、梁などの重構造材に多く使われます。
梁材として非常に良材として有名な松は、南部赤松。ラビーダの住宅ではチョウナを使って、一本一本大工さんが手で松を削り、手刻みの梁を作っています。
松は日本の縁起物。
お正月には門の前に門松を立て、年神さまを迎え入れる風習は、日本古来のものです。
文献によれば平安時代にまでそのルーツを辿れるとのこと、松は縁起のいいものとして常に尊ばれてきました。
「松竹梅」をあしらう縁起物は多く、日本の伝統文化のあちこちで見ることができます。
日本の松は危機にさらされています。
松の樹は一般に比較的痩せた土地に育ち、乾燥にも強い丈夫な木です。しかし昭和の終わりから平成にかけて、日本の松は松材線虫症(マツクイムシ)の激害により年間100万㎥前後もの松が枯れていっていると言われています。日本の代表的な樹木と言われる松が、今危機にさらされています。
松材線虫症の主な原因は、線虫の感染症です。
カミキリムシを媒介とする線虫が、松の樹の中で繁殖することによりたった一年で枯れてしまいます。
昭和30年代までは、松山は材木の生産と同時に燃料の採集林でした。枯木、枯枝、落葉は、大切な燃料だったため、松材線虫症による枯木は喜んで切られ、病気の原因である線虫とカミキリムシは松材と一緒に燃料として燃やされていたため、被害は今ほど拡散しませんでした。松材線虫症の防除として、松材の燃料しようが機能していました。
現代では、松を燃料として使用することはめっきり減ってしまいました。薪、木炭、石炭から石油への燃料革命が、松材線虫症の被害拡大の見えない原因と言われています。
世界最長寿の木
松は長寿のシンボルとも言われますが、アメリカカルフォルニア州に生えているメトシェラ(ブリセルコーンパイン)は世界最長寿の樹として有名で、松(パイン)の一種です。樹齢およそ4800年でまだ生きているそうです。
パイン材とパイナップル
輸入の松属の木材を総じて「パイン材(Pine)」と呼ぶことが多いです。
パイナップル(pineapple)もともとは松かさ(松ぼっくり)のことを指す呼称でしたが、松かさにそっくりな果実(現在のパイナップル)が後に発見され、現在のような呼称が定着されたそうです。
日本で「パイン」はパイナップルをイメージすることが多いですが、海外で「Pine」といえば松のことです。どうぞお気をつけください。
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