福島市のS様邸は、住宅性能を上げるため、様々な工夫をしています。
その一つが断熱材。
家をぐるりと断熱材で覆い、隙間を無くすことで住宅性能は大きく向上します。
断熱材は同じ厚みによっても商品によって性能が異なります。
S様邸で選んだ断熱材は、マグイゾベール株式会社で発売されているマグスーパーイエロー。マグイゾベール社は非常に高性能なグラスウールを製造する会社として有名で、S様からの希望もあり今回選びました。
天井と壁の充填断熱材と、外壁には付加断熱も行います。
天井には厚み360mmの断熱材、壁には充填断熱と付加断熱合わせて210mmの厚みの断熱材が施工されます。
マグイゾベール社のグラスウールは黄色い色が特徴です。
壁や天井に使用しているマグスーパーイエローは、高性能グラスウール16Kと呼ばれるものです。
マグスーパーイエローの熱伝導率(λ)は0.038W/㎡K”。
通常のグラスウール10K(0.050W/㎡K)と比較すると、同じ厚みで1.3倍以上も暖かい断熱材ということになります。
セルロースファイバーは0.037W/㎡K、現場発泡ウレタンは0.034W/㎡K程度のものが多く、グラスウールでもそれらの断熱材と同等の性能に近づきます。
マグスーパーイエローは繊維の一本一本に撥水加工がなされているため、結露に弱いというグラスウールの弱点を克服しています。
断熱材の施工は、まず外壁に間柱を立てます。
柱と柱の間に隙間なく断熱材を施工することを「充填断熱」と言います。
今回は今までにない断熱性能を実現するためラビーダでは初めての施工にチャレンジしています。
そのため、断熱材の施工のために専門家の指導をお願いしました。
指導していただいたのは、数多くの高性能住宅の施工アドバイスを行っている、住まい環境プランニング代表の古川さん。現場で丁寧に実演されながら教えてくれました。
上の画像は、断熱材のカットの仕方を教えてくれているところです。
繊維系の断熱材は非常に柔らかいため、「寸法通りにカットする」ことが意外と難しい材料。充填断熱の施工のポイントは、構造躯体と断熱材との間に隙間ができないようにすることが大切なため、丁寧で正確なカット技術が必要となります。充填する内法寸法より5mm〜10mm程度大き目の寸法で正確にカットしていきます。
適切な寸法で充填することで、隙間ができず、断熱欠損のない施工ができます。
(断熱材が大きすぎるとシワが寄ってしまい、断熱欠損の原因となるため注意が必要です。小さすぎると隙間ができるため、断熱欠損となります。)
大工さんにとっても、マグスーパーイエローは初めて施工する断熱材。古川さんに丁寧に指導していただいたことで、気をつけるポイントが深く理解できたと喜んでいました。
設計と施工が噛みあってこその、住宅性能の実現です。
隙間なく、シワなく、きれいに収まりました。
天井はマグスーパーイエローを三層に重ねて施工します。上の写真は一層目を施工したところ。
120mmの断熱材を三層にするため、合計360mmの厚みとなります。
暖かい空気は上へ上へと上がる性質のため、天井をきちんと断熱でガードし熱を逃がさないよう施工することが大切です。
二層目を施工したところです。
断熱材は施工する方向を交互に重ねることで、隙間なく施工します。
S様邸の断熱施工の大きな特徴のひとつは、外壁に付加断熱を行うことです。
充填断熱だけでは求める断熱性能が出ない場合、付加断熱を行います。
北海道や北東北では付加断熱の実例はたくさんありますが、福島ではまだまだ実例の少ない工事です。
住宅の断熱性能を向上させることは、快適な暮らしだけでなく地球環境のためにも必要なこと。
今後はますますたくさんの住宅で、比較的温暖な地域であっても付加断熱の住宅は増えていくだろうと言われています。
受け材を施工し、断熱材で外壁を覆います。
外部の付加断熱は、濡れないようにタイベックシートで覆います。
タイベックシートは透湿と防水の機能があるハイテク素材です。
雨などの水は通しませんが、壁の内部の水蒸気は外部に逃がすことができるシートのため、壁内が湿気る事なく断熱材を守ってくれます。
グラスウールは、内部結露によるカビや性能劣化など使ってはいけない断熱材だと誤解される事もあります。
技術の向上によって断熱材が落ちてしまったり、壁の中で結露を起こしたり、断熱性が低かったりということは解消されています。安価で地球環境に優しいグラスウールは、今後ますます普及していくことでしょう。
正しい知識が広まり、理解が進むことで、より多くの住宅がより良い性能を実現してもらえればと思います。
長谷川
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