毎日寒い日が続きますね。
郡山市は年が明けてからそこまで雪も積もる事なく過ごしやすいです。しかし、あと一回どさっと降りそうな気もしますけど、これ以上寒くはなってほしくないですね。
さて、先日の骨董箪笥の修復blogの続き。修復編を紹介していきたいと思います。
まず今回の修復内容です。
A 金物の全交換。
B 本体部分の組み直し。
C 拭き漆による再塗装。
大きく分けて三工程です。
一見少なく見えますが、、ところがどっこいとても手間暇がかかっております。
せっかくの機会なので細かい行程も紹介いたします。
①全金物の取り外し
before
箪笥には数多くの金物が使われています。角を守る役目や木材の狂いを押さえる目的や装飾などの意味合いがあります。
現状はほとんどの金具が錆び付いており、一番目につく錠前は錆び付き鍵も無くなってしまっていたので交換する事に。しかし、一カ所のみ交換してしまうと回りとのバランスも悪くなってしまうので最上部の引き違い戸以外の金具も全部交換することにしました。
引き違い戸の引き手部分の金物は代替え品がなかったので再利用する事にいたしました。
金物はすべて釘で留められており、これを一つ一つ抜いていきます。
釘も劣化して折れやすく、本体も杉材でやわらかくとても傷がつきやすいので慎重に作業していきます。とても根気と時間のかかる作業です。
そして、ようやく金物を取り終えたものがこちら。
②本体の組み直し
金物が外れたらようやく本体の修理に取りかかります。
まずは本体の再チェック。
写真で見てお分かりになるでしょうか。板がズレていますよね。
これは板と板を接着していた接着剤が劣化して剥がれてしまっている様子です。
通常は本体の幅の広い板を作る場合、復数枚の幅の狭い板をつなげて目的の幅の板にします。これが巾接ぎといいます。
今回の骨董箪笥は天板(1番上の板)、中仕切り(真ん中の板)、底板(一番下の板)、側板(左右側面の板)はすべて接着剤が切れてばらばらになっておりました。
上段、中段、下段の構造の3段のすべてを再接着し直します。。。これは骨が折れる作業になりそうです。というのもすべてを組み直すという事は、箪笥一竿を新しく組むようなものなのです。それくらいとても大変な作業になります。
背板もすべてはずし一つ一つの板をハタガネを使って再接着していきます。引き出しとの兼ね合いもあるのでこの段階で全体のバランスも調整しながら組んでいきます。
③引き出し、引き違い戸の調整。
本体の中に引き出しがきちんと収納できるように引き出しと本体を削って調整します。
引き違い戸もぴったりしますように調整していきます。
④剥離・削り直し
天板と側板にはニスのようなもの。引き出しの前板と引き違い戸には漆塗り。
一つ一つを削り、塗装を剥離していきます。前板には欅材が使われており削り直すと欅本来の木目が見えてきます。
④金物取付の為の木部加工。
新しい金物を取付けるにあたって引き手の穴の位置や錠前用の彫り込みなど木部の加工をしていきます。
⑤最終調整
三段すべて重ねてみて引き違い戸の具合と、引き出しの締まり具合を最後に微調整します。
そうして木部の修理が完了したものがこちらになります。
長くなりましたが木部の修復編はこれにて完了です。
次は最終章の塗装編です。お楽しみに。
saku
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