6月に入り、季節はあっという間に巡り梅雨を迎えようとしていますね。四国・中国・近畿地方では先日梅雨入りしたそうです。紫陽花が見れるのはとても嬉しい事だけれど、太陽を浴びた布団で眠れないのは毎年の事ながらすこし寂しくなってしまいますね。
さて気分を変えて今回はHans J wegnerのJH503を修理しました。
まず北欧家具を知る上で皆が最初に知る椅子の一つ。JH503。通称ザ・チェアです。
before
[現状]
・脚と肘掛け、笠木部分のホゾが痩せて外れてしまっている。
・本体左後ろ足側のホゾが抜けてきている。右前脚のホゾが緩んでしまっている。
before
[修復内容]
・本体の組み直し。
通常比較的新しい家具を組み直す場合はホゾを抜いて接着剤をつけて組み直すだけで済みます。しかし40~50年経った木製家具のほとんどは木が痩せてホゾがスカスカになってしまいます。だから、ただ接着剤をつけて組んでもすぐに外れてきてしまいます。そのため、今回のようなビンテージ家具などは組むときに一手間二手間かける必要があるのです。それは楔だったり埋めだったり様々な方法があります。その時々状況に合わせてこの家具にはどれが適切な方法なのか選びます。この方法は職人さんの知恵や経験の固まりなので簡単には教えられません。俗にいう企業秘密ってやつです。
このザ・チェアの修理に関しても一工夫してあと30年は絶対ホゾが抜けないように組んであります。組んでしまうと工夫も何も見えなくなってしまうのが残念ですがね。
そして修理が完了したものがこちらになります。
after
修理というのはとても地味な作業に見えますが、長く家具を使っていく中でとても重要な事に思えます。そして勘違いしてほしくない事は基本的に壊れないものなどあり得ません。座面の布や革はいずれ破けますし、木部を組んでいる接着剤もいずれ劣化し剥がれてしまいます。だからこそ、メンテナンスや修理の手を加えながら味わい深く成長させていくのが木製家具の良いところだと思うのです。
所々に出来た傷や凹みなど今はマイナスに思える点も時が経つにつれ大切な思い出となるでしょう。
生活の中で一番身近で大切な道具。もう一度見直してみませんか。
ラビーダでは自社でご購入頂いた家具はもちろんのこと、他社でご購入された家具に関しても修理承っております。お気軽にお問い合わせ下さいませ。
H様ありがとうございました。
木部修理:佐久間
saku
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